VOL.15 

株式会社デコス

デコスファイバー

ℚ.サービスのコンセプトについて、教えてください。

新聞紙を住宅の価値に変える。

 デコスファイバーは、主原料の80%に新聞古紙を使用した木質繊維系セルロースファイバー断熱材です。

 私たちは、数日で役目を終える新聞紙を、50~100年使われる住宅という長寿命の社会資産で活用することに価値があると考えています。これは単なるリサイクルではなく、資源価値を高めながら長期間活用するアップサイクルです。

 デコスファイバーは新聞紙に含まれる木質由来の炭素を住宅内に長期間固定するとともに、高い断熱性能によって冷暖房エネルギーの削減にも貢献します。さらに、資源循環、脱炭素、省エネルギー、住宅長寿命化、資源安全保障(脱石油)を実現します。

 また、上記の取り組みに加えて、デコスファイバーを断熱材として壁に吹き込む独自の方法である「デコスドライ工法」を責任施工体制で行っている点や、CFP算定による環境価値の見える化の推進が挙げられます。

 これらの取り組みが評価され、2013年に第15回グリーン購入大賞・経済産業大臣賞を受賞しました。

第15回グリーン購入大賞受賞概要

ℚ.商品開発の背景やデコスファイバーの特長を教えてください。

 デコスファイバーは、住宅をつくる工務店である安成工務店から生まれました。

 高性能な断熱材であっても、施工品質が確保されなければ本来の性能を発揮できない――その住宅現場の課題から開発された製品です。

 特長は、新聞古紙を住宅の中で50~100年間活用するアップサイクル性に加え、断熱性、調湿性、吸音性などの多機能性を兼ね備えていることです。

 また、施工品質を確保するため、専用開発した乾式吹込み工法「デコスドライ工法」を採用しました。この工法では、代理店技術研修や、現場施工パトロール、全棟内部結露計算を行い、木造住宅内部結露被害20年保証制度を実施しています。

私たちが提供しているのは断熱材そのものではなく、住宅の環境性能を長期間発揮し続ける仕組みです。

ℚ. エコマークやCFP、SuMPO EPD、「エコ商品ねっと」等、外部評価を受け、情報発信にも積極的に取り組まれていますが、どのような考えからそのように取り組まれているのですか。

 デコスでは、環境配慮商品であることを自ら主張するだけではなく、客観的かつ定量的な情報開示を重視しています。

 2011年には建築用断熱材として国内初のCFP(カーボンフットプリント)認証を取得し、2019年にはEPD(環境製品宣言)認証を取得しました。

 さらに2024年にはJ-CAT®(建築物ホールライフカーボン算定ツール)へ実データの提供を行っています。

 また、GPNが運営する「エコ商品ねっと」にデコスファイバーを掲載し、誰もが環境性能を比較・評価できるように情報を公開しています。透明性の高い情報開示こそが、持続可能な社会づくりにつながると考えています。

「エコ商品ねっと」掲載ページ

ℚ. デコスファイバーの環境負荷低減のポイントでもある、「カーボンネガティブ」について教えてください。どれくらいのCO2の削減を行っているのでしょうか。

 デコスファイバーの主原料である新聞紙には、木が成長過程で吸収した炭素が含まれています。この炭素を住宅内に長期間固定することで、気候変動対策に貢献しています。

 デコスファイバー1袋(15kg)あたりの製造・輸送時のCO2排出量は7.1kg-CO2ですが、固定される炭素量は16.9kg-CO2です。差し引き9.8kg-CO2の削減効果があり、カーボンネガティブを実現しています。

 住宅1棟では約1.36t-CO2を固定し、さらに断熱性能向上による冷暖房エネルギー削減効果も加わるため、施工するだけでCO2削減に貢献できる断熱材です。

ℚ.  デコスファイバーが50~100年間という長寿命住宅を支えられる具体的な理由を教えてください。断熱材の品質を維持する取り組みなどを行っているのでしょうか。

 断熱材は施工品質によって性能が大きく左右されます。デコスでは独自開発の乾式吹込み工法「デコスドライ工法」に加え、代理店技術研修、現場施工パトロール、全棟内部結露計算、木造住宅内部結露被害20年保証制度を実施しています。

 また、内部結露リスクを低減することで木造住宅の耐久性向上に貢献し、住宅を長く使うこと自体が最大の環境負荷低減につながります。

ℚ. 新聞紙をアップサイクルすることで、脱石油社会へ貢献していますが、これはデコスファイバーならではの取り組みでしょうか。

 新聞紙を原料としたセルロースファイバー断熱材自体は他社にもありますが、デコスファイバーは、その新聞紙を長寿命の住宅断熱材としてアップサイクルし、施工品質まで含めて価値を提供している点が独自の取り組みです。

 具体的には、新聞古紙を住宅で数十年にわたり炭素固定できる断熱材として活用するとともに、責任施工、全棟内部結露計算、20年保証などの仕組みにより、その性能を長期間維持できる体制を構築しています。

 単に新聞紙を再利用するだけでなく、住宅の省エネルギー化と炭素固定、そして施工品質までを一体で実現していることが、デコスファイバーならではの取り組みです。

 近年は原油価格高騰や地政学リスクの高まりから、資源安全保障の重要性が増しています。

非石油系で国内資源循環を実現する断熱材として、脱炭素だけでなく、資源安全保障と脱石油社会の実現にも貢献しています。

ℚ.  デコスファイバーが多くの建物に施工されるまでにあった課題は何ですか。また、それをどう克服したかを教えてください。

 普及当初は、新聞紙を原料とする断熱材に対して「燃えやすいのではないか」「品質は大丈夫か」という不安の声がありました。

 そこでデコスでは、「燃えやすいのではないか」という不安を解消するため、JIS認証取得に加え、ホウ酸・ホウ砂による難燃処理や品質管理体制を整備するとともに、施工品質を担保するための代理店制度や技術研修制度を構築しました。

 さらに、「品質は大丈夫か」という声に対応した取り組みとして、全棟内部結露計算や木造住宅内部結露被害20年保証制度の導入が挙げられます。断熱材だけでなく施工品質まで含めた責任施工体制を確立したことで、累計約4万棟への採用につながっています。

ℚ. デコスファイバーはどのような社会課題の解決に寄与すると考えていますか。SDGsと関連付けている場合は併せて教えてください。

 デコスファイバーは、資源循環、気候変動対策、省エネルギー、住宅長寿命化、資源安全保障という複数の社会課題の解決に貢献しています。

 新聞古紙を住宅で長期間活用することで資源循環を実現し、木質由来炭素の固定によって脱炭素に貢献します。また、高い断熱性能による省エネルギーだけではなく、住宅の長寿命化による資源投入や廃棄物発生の抑制にもつながります。

 SDGsでは主に目標3、7、11、12、13、15、17の達成に貢献しています。

ℚ. 仮設住宅にも施工事例があるようですが、施工に至るまでの背景を教えてください

 2016年に発生した熊本地震では、全国木造建設事業協会(全木協)が「仮設住宅も住宅である以上、快適性が必要である」と提案し、高断熱・高品質な木造応急仮設住宅が実現しました。

 デコスファイバーは、断熱性に加え、調湿性、吸音性、施工品質、全国から施工技術者を派遣できる供給・施工体制などが評価され、採用されました。

 この木造応急仮設住宅は「熊本モデル」として全国へ展開され、2024年の能登半島地震では623戸に採用されました。

 現在までの累計採用実績は1,804戸にのぼり、被災者の健康維持と住環境の改善に貢献しています。

ℚ. 新聞紙を利用した建材を利用していますが、他の原材料の利用など、今後の展開について教えてください。

私たちは今後も「新聞紙を住宅の価値に変える」という考え方を軸に、資源循環型社会の実現に取り組んでいきます。

 現在は新聞古紙を主原料としていますが、本質は紙を使うことではなく、地域で発生する未利用資源を長寿命の住宅で活用し、その価値を最大化することにあります。

 建築分野ではホールライフカーボン(建築物のライフサイクル全体を通じたCO2排出の総量)への関心が高まり、建材にも脱炭素だけでなく、脱石油や資源安全保障の視点が求められる時代になっています。

 デコスはCFP、EPD、J-CATなどを通じた環境情報開示をさらに進めるとともに、新聞紙を住宅の価値に変え、持続可能な社会の実現に貢献します。

グリーン購入ネットワーク(GPN)から

 新聞紙をリサイクルすることで作られるデコスファイバー。株式会社デコスでは、認証を取得するなど、その環境価値を「目に見える形」にして発信しています。

 原材料だけではなく輸送段階や施工まで、ライフサイクル全体を通じて環境配慮を行った製品が、50年、100年と建物で使用される様子は、実際に住んでいる際には見えない部分ですが、住む前に知っておきたい大切なストーリーではないでしょうか。
 
 身近な未利用素材が、多機能な建材として新たな価値を持ち、長期にわたって活用される。この取り組みが、「サーキュラーエコノミー推進のお手本」として、50年、100年先まで、その建物とともに語り継がれていくことを期待しています。

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