VOL.8 株式会社レゾナック・ホールディングス
川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)
■CONCEPT
2003年に川崎事業所(神奈川県川崎市)で使用済みプラスチックを化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」(KPR)をスタートさせました。
KPRでは、家庭や企業からゴミとして排出されるプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素と炭酸ガスを取り出しています(ガス化ケミカルリサイクル)。
水素の一部は近隣プラントにて化学原料向けや川崎市の川崎キングスカイフロント東急REIホテル様にて燃料電池向け(ホテル内の電力)に活用されます。そのほかは主にアンモニアの原料になり合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使われます。
一方の炭酸ガスはドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されるなど、化学の力で資源循環を実現し持続可能で豊かな社会実現に向け活躍しています。
ℚ.
製品の特長や、製品開発の背景をおしえてください。
受け入れる使用済みプラスチックは、同一の素材ではなく、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アルミ蒸着プラスチック*1などさまざまな種類が混在しています。それらを受け入れられる施設であることが他のプラスチックリサイクルに見られない特長です。条件が異なるなか、KPRの安定運転を行うための技術として、主に使用済みプラスチックの破砕・固形化技術、水素と炭酸ガスに分解するガス化に関する技術などを培ってきました。
破砕・固形化において、分別されずに混入した金属類による故障やプラスチックの分別と思われたリチウムイオン電池・ライター*2による発火など設備の停止がありました。また、ガス化設備に関しても、運転開始当初は温度を上げてプラスチックを分解する「高温ガス化炉」が、2週間〜1ヶ月ほどしか連続運転できず、頻繁に停止していました。たくさんの関係者による試行錯誤の結果、さまざまな技術やノウハウを確立し、安定運転にまでこぎつけることができました。
その結果、今ではガス化ケミカルリサイクルプラントを20年もの長期にわたって安定的に商業運転している世界で唯一のプラントにまでなりました。
また、KPRは定常運転中に化石燃料を全く使わず、さらに、二酸化炭素は大気中に放出されないことが特長的です。
*1 プラスチックフィルムにアルミを蒸着(アルミニウムを加熱して蒸発させ、蒸気をフィルムの表面に付着させる)しており、例えばお菓子やスナックなどの袋に使用されている。アルミニウムよりプラスチックの方が、使用量が多いため「プラ」の識別マークが表示されており、プラスチックとして分別回収できる。
*2 リチウムイオン電池を含む機器やライターは燃えないゴミやプラスチック分別ではありません。各自治体の指示に従っていただけますようご協力をお願いいたします。
ℚ.この製品はどのような社会課題の解決に寄与すると考えていますか。SDGsと関連付けている場合は併せておしえてください。
使用済みプラスチックは世界が直面する喫緊の課題の一つです。毎年少なくとも800万トンのプラスチックごみが新たに海へと流出していると言われています。鳥や海の生物がそれを誤って食べてしまう生物被害のほか、漁業・観光業などの産業に及ぼす悪影響も深刻です。
レゾナックのプラスチックケミカルリサイクル事業は、2022年1月に累計100万トンの処理量を達成。現在、年間で約7万トンの使用済みプラスチックを処理しています。本事業により、「SDGs14海の豊かさを守ろう」へ貢献しています。また、使用済みプラスチックを化学の力で分解することにより、水素エネルギー、アンモニアからの合成繊維・肥料、ドライアイスや炭酸飲料など、一般消費者にも還元される仕組みをつくっています。
社外とも連携した、こうした循環モデルの構築は、まさに「SDGs12つくる責任つかう責任」に結び付く活動です。
Q.今後の展開について教えてください。
KPRのノウハウを使って、プラスチック資源循環の輪を世界中に広げることが目標です。使用済みのプラスチックは「ゴミ」ではなく「資源」であること、プラスチックの分別の大切さを理解いただき、リサイクルが当たり前の世の中になるために貢献していきます。
また、伊藤忠商事様と繊維リサイクルの課題解決循環型プロジェクト「ARChemia(アルケミア)プロジェクト」の検討をはじめました。いままでリサイクル処理が難しかった綿やポリエステル混などの混紡品を含む使用済み衣料の再資源化です。KPRの技術で水素、アンモニア、アクリロニトリル(アクリル繊維原料)などの化学品原料や炭酸ガスなどに生まれ変わります。
当社はプラスチック資源循環のため、KPRを活用して脱炭素社会に貢献します。
グリーン購入ネットワーク(GPN)から
国内で発生する「使用済みプラスチック」を受け入れ、水素やアンモニア、炭酸、ドライアイス等の材料としてケミカルリサイクルする本事業は、 使用済みプラスチックの処理問題だけでなく原材料調達の安定性や気候変動対策にも有益な取り組みです。
いち早くプラスチック資源の循環利用に取り組むことで、循環型社会の構築に貢献しています。
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