森林があるべき姿を保ち続けるには、森林で育ち、間伐された木材をできる限り、無駄なく活用する取り組みがカギになります。
この考えから家具ブランド『yuimori』を立ちあげました。
木材をはじめとする国産素材の活用と同時に素材ごとにできる限り分解できる製品設計を行い、リサイクルや適切な廃棄につなげます。『yuimori』を通じて、自然共生社会への貢献を目指します。
日本の人工林はスギ、ヒノキの針葉樹が主ですが、従来のオフィス空間構築および家具製造において、針葉樹の使用が困難な点が 3点あります。
1つ目が木のやわらかさによる強度と耐久性への懸念、2つ目が節の多さや木の独特の色味によるデザイン性への懸念、3つ目が市場での活用が少ないことによるコスト課題です。
今回の取り組みにおいて、その課題を解決するため、オフィスの空間ニーズから耐久性の高い家具製造までの知見を持つコクヨと木の特性に詳しい四万十町森林組合、木を用いた独自の家具製造技術をもつ天童木工、建築から家具まで幅広いデザインを生み出している芦沢啓治氏とのコラボレーションによって、知見を持ち寄りながら製品をつくりあげました。
本製品は、コクヨと四万十町森林組合との森林保全活動の中で間伐をしたヒノキ材を表面に、芯材に国産ブナ材を使用した成形合板技術により製造を行っています。従来のヒノキのみの構造では、オフィスに求められる強度や耐久性を実現するためにはデザインの選択肢が狭くなり、空間デザインニーズにマッチする製品とのバランスが難しい状況でした。そのため、素材の取り入れ方を工夫し、天童木工の成型合板技術を用いて、ヒノキ材を取り入れながらも選びたくなるデザインとオフィスで長く活用できる強度、耐久性の両立を実現しました。
また、ヒノキは節が多く、節の箇所は見た目の課題だけではなく抜けて穴になってしまうことがあります。また、色味が通常のオフィス空間で使われる他の木材よりも黄味が強くコーディネートがしづらいという課題もありました。本製品では、穴が抜けてしまう節のみ除き、それ以外の節は取り入れつつ、空間で使われる色と相性の良い色の塗装をかけることで、節の印象の緩和とデザイン性の向上を実現しました。
素材の特性から家具への利用が難しいとされる、国内の森林の間伐材を出来る限り活用、
加工を施し、国内工場で生産された家具。持続可能な森林の支援に寄与しています。
今後、他の地域やその地元企業との連携をすることで、
国内の多くのエリアの間伐材の活用や、
地域の活性にも期待できます。